先週と今週のモーニング | 砂上の賃貸

先週と今週のモーニング

2005 5/12発売 24号

基本的にあまり辛口になりすぎないように書いているのだけど、この週は今年一番ひどかったので辛口です。

シリーズ連載として柴門ふみの「華和家の四姉妹」が新連載開始。うん、これはひどい。コメディと銘打っているのにさっぱり笑えない。なんか全員下品すぎるんだな。現代的な女性を下品とはき違えている感じ。しかもキャラクターがみんな薄っぺらで、「このキャラはこういう設定です」ってのを全部言葉で説明している。まあ柴門ふみはマンガ家としては表現力に乏しくて、小説の方がマンガより優れているみたいなことを言っていしかわじゅんに手厳しく批判されちゃうような人だからむべなるかな。ちなみにその辺の話はいしかわじゅんの「漫画の時間」 に載っています。

前回の感想 で「心証は限りなく黒に近い」と書いた「刑事が一匹…」はやっぱり真っ黒でした。まず基本的にリアリティに欠けている。それでいて、リアリティを補うハッタリとも言うべきダイナミズムが皆無で、予定調和にしか見えない。主人公のキャラクターが魅力に欠け、顔アップを連発すればするほどしらける。最後に「実はこんな優しい一面もあるんだよ」的に被疑者の子供をフォローする姿もいかにもありきたり。あと、ところどころで社会派もどき(社会派ではなくあくまで社会派もどき)な描写を中途半端に入れるせいでよけいにリアリティの部分のアラが目立つのも最悪。もういい加減この手の中途半端な社会派もどきはやめたほうがいいんじゃないのかと思わずにいられない。本気で社会派やるんだったらもっと徹底的に取材して無駄にドラマ性を煽る演出を排除してリアリズムに徹したほうがいいし(淡々と事実を描写するだけでもドラマは自然と描かれる)、それができないなら些細なリアリティを吹き飛ばせるだけのエンターテイメントに徹しろと言いたい。両者を高い位置で融合させるなんて並大抵の力量じゃできないんだから。ていうか結局このマンガの主題って何だったんだろう?「主人公カッコいいだろ?」とかか?その辺をアピールしたいことだけはわかった。でもそれが全部表面的だからナルにしか見えないんだけどね。


2005 5/19発売 25号

前号巻頭特別インタビューでも「アーティスト」っぷりを存分に見せてくれていた井上センセイのバガボンドがようやくの復活。表紙も超豪華。しかしまあさすがにこの人は読ませるだけのものは描いてくれる。主要人物も勢揃いで、新章の導入としてこの先が楽しみな内容だった。

島耕作はいつも愉快な笑いを提供してくれますが、今回は本当に爆笑した。ネット工作員ですよ!インターネットにはインターネットで対抗ですよ!やばい、俺も対抗される!コメント欄閉じないと!いや、ほんと爆笑した。やっぱこのマンガすごいよ。

ピアノの森はとても面白い。何がすごいって、以前アッパーズで連載していた分を知らなくても説明が過不足なくて自然と物語に引き込まれて楽しく読める。唯一不安なのは一色まことが遅筆なことだけど、適度に休載を挟むようだし、今のところは大丈夫かな。

神の雫はワインうんちくがどうでもよくてもちゃんと読めるところがいい。家族の絆みたいなベタな話でも、丁寧に描かれているから素直に読める。原作者の亜樹直はおそらくキバヤシ(安童夕馬、天樹征丸、青樹佑夜等も同じ)だと思うが、やっぱり最低限ちゃんと読める話を作れるから原作者としてヒットを多数輩出しているんだなあとしみじみ。まあ、マガジン読者からアレとかはどうなんだとツッコミが入りそうだけど、それはそれ。

蒼天航路は曹操が倒れていよいよ終局が近づいていることを予感させる展開。魏諷の乱もついに起こるようだし、呉もそろそろ動きそうだし。できれば劉備の最期も描いて欲しいが。

オンサイト、ようやく本題のロッククライミングに入ってちょっと面白くなってきた。岩山を登り切った喜びを見開きで表現しているページはとてもよかった。こういうのこそがマンガだ。

はるか17は移籍話の続き。これで結局移籍しないとがっかりなんでここは移籍して欲しい。そしてファインプロという一見安泰で実はシビアで過酷な環境の中で修羅の道を歩んで欲しい。でもどうだろうなー。